やきものワールドで体験したことです。
私どものブースにいらっしゃったご婦人が
『このお店は古い漆器の修理もしていただけるのですか』
と訊ねられました。
『輪島塗は修理すれば又長く使い続けられますが 他産地のだと下地の行程が違うので修理しても強度はわかりません。
昔の輪島塗なら和紙の袋に入ってて製造元のお店のハンコが必ず押してあるはずだから そのお店が今も健在なら作られたお店で修理をお願いされるのが一番いいかも?』
と答えると
『会期中にお持ちしますから一度見て下さい』
とのことになりました。
最終日、
ご婦人の旦那様が再び私どものブースに訪れ 修理したい木箱入りのお椀を見せてもらったら!!!
なんと! そのお椀って我が家の先代?先々代?が納めさせてもらったものだったのです。
確かに土蔵の整理をしてた時 顔を出した古い見本椀の中にこのお椀があります
こちらが 修理でお預かりしたお椀の木箱の蓋裏です
輪島 大﨑製の文字が~
外は緑色に塗られてて波に千鳥の蒔絵が施されてます。
中に塗られた黒の漆が長く使われてたので羊羹色に変色してました
和紙の袋には我が家の印判が
お椀とお椀の間に挟む合敷紙や新聞紙もボロボロになってるものの残ってました
新聞紙を開いてみると 大正12年2月22日の日付けがー
まあっ!90年ぶりのお里帰り?
修理をお願いされた方は60代後半?でした。
お里のおばあ様が無くなられてから ご兄弟で10客づつ分けられたのだとか
他にも私どもの漆器があるそうですがそちらはまだ健在で使ってらっしゃるそうです。
丁寧に作られた輪島塗が90年間丁寧に使われてるのですね
お預かりしたお椀は、外の緑色の漆も多少変色はしてるものの傷みも見当たりません。
蒔絵が付いてるので外は触らずに年代を経た景色として見てもらい、お椀の中だけ塗り替えることになりました。
私達のご先祖様が作った漆器が、時代を経た次世代のお客さまとの出会になるとは!
器を通し、長い時間を経て 人と人がつながっていく~
輪島塗とは なんぞや?
輪島塗の原点を改めて目の前にし 感動しました。